「……私に……しなよっ」



私の頬はいつのまにか濡れていて、でもそれは最初からだったのかそうではなかったのか、もうわからない。


「私で……いいじゃん。私はあの子と何もかも同じなのに……。何がいけないの?顔も身長も、得意なことも経歴も何一つ変わらないのに……!」



私の悲痛な叫びが2人きりの空間に響き渡る。





するとさっきまで、ただ泣くことしかしていなかった彼が私を視界にいれた。


たったそれだけのことで私の胸は高鳴る。





「……君とあの子は一緒じゃないよ。違う人生を生きて、違う考え方をして……。僕は君とあの子を一緒だと思ったことは1度もない」







きっぱりと言い切った彼の瞳は涙で澄んでいて、私を惹き込ませるかるかのようだった。



「……どうして、なんで……」


引き離されるかのように言われたその言葉は悲しくて、苦しくて、けれどとても嬉しかった。