「な‥何よ‥。」


でも、私の心は少し暖かった。


こんな地味な私なのに、圭太くんは学部も名前も覚えていてくれた。



それが嬉しかったのだ。













私が手当て担当に任命されてから、圭太くんはいろいろ私にちょっかいをするようになった。



あるときは、食堂で勉強しているとき。やつは突然現れる‥


「えーっと‥これが、こうだから‥」


「久川!!」


「きゃあ!!!」



いきなり肩を叩かれ、驚いて持っていたペンを床に落としてしまう始末。


「今日も頑張ってんな久川!感心、感心!」


「ちょっ‥ちょっと、笹江くん。やめてよ、私、本当にびっくりして‥」


「あっ‥ごめん。びっくりさせちゃって。大丈夫?」


「大丈夫だよ。なんとか、生きてる。」



私は胸を撫で下ろす。



「フフフ‥。お前て本当に面白いよな‥。おもちゃみたい‥。」


笹江くんが笑う。


「私は笹江くんのおもちゃじゃない!本当に、邪魔しないで!」


私は時間の無駄だと思い参考書に目を戻す。


「本当にごめんて。‥それって何の勉強?」


なぜか、笹江くんが私の隣の席に腰を降ろした。


「‥看護師試験の勉強。もう、始めておこうと思って。」


「えっ!?もう、始めてんの!?早っ!!」


「早くないよ。このぐらいの時期から勉強しといて損はないからね。私も安心して取り組めるし。」


「やっぱり、君は面白いよね。君のそういうところ、すごいて思う。」


「全然、すごくなんかないよ。私はたくさん勉強しないといけない人間だから。」


私は手を動かしながら言う。



「そっか。‥じゃあ、ラスト1個だけ。久川さんは誕生日はいつ?」