試合当日となった。
からりと晴れた日だった。
空には夏空が広がる。
試合が始まった。
俺はあるねらいのために打席に入った。
甘く入った球を打つ!!
カキン!!!
快音が響いたがそんなに打球が伸びずセンターフライになってしまった。
(あれ?手ごたえあったんだけどな‥)
一成の活躍もあり、チームは5回表にして7対1で勝っていた。
そして、8回表に5巡目が回ってきた。
ここのところ俺はフライばかりをあげている。
打席に行く前に一成に声をかけられた。
「お前、今日狙ってるの?ホームラン。」
ドキッ!!
「ホームラン?狙ってなんかないよ。」
否定はしたものの心臓はドキドキしていた。
でも、一成の言ってたのは本当。
俺はホームランを狙ってる。それも今日、誕生日の一成のために。
俺は打席に入り深呼吸をする。
あげるとすれば今日しかチャンスはない。
なんとしてもこの回で決めないといけない。
俺はボールをよく見る。
ホームランを打つことは簡単じゃないことは俺が一番、知ってる。
だけど、俺の手で決めてあいつの誕生日を祝ってやりたい。
忘れられない最高の誕生日にしてやりたいんだ!
カキィン!!!
俺は甘く入ったボールをフルスイングした。
一瞬、音が聞こえなくなった。誰の声も聞こえない無音の世界。
俺が打球をみると外野席に入っていくところだった。
入った瞬間に会場が大きな歓声に包まれた。
俺にとって人生で初めてのホームランだった。
俺が戻ると俺はみんなに揉みくちゃにされた。
見ると、一成も嬉しそうにしていた。
この時、一成はこれからおこるサプライズなんて考えてないだろうなー。