ピンポーン!
私は圭太の家のインターホンを鳴らした。
だけど、中からは誰かが出てくる気配はなかった。
(あれ?留守かな?まだ仕事、終わってない?)
そう思って、ドアを回すとドアが開いた。
「圭太?いるの?歩保だけど。」
のぞくと奥の部屋には電気がついていた。
「圭太、入るよ!入るからね!」
私は聞こえるように言って、家の中に入った。
私は居間に歩を進める。
そして、リビングに入ったときだった。
「お誕生日おめでとう!!!」
パーン!!
そんな声と同時にクラッカーの音が鳴り響いた。
私は驚きのあまり、地面に座り込んでしまった。
「ど‥どういうこと!?」
「8月は歩保の誕生日だと思って。あれ‥今日8月20日は歩保の誕生日だよな?」
「ううん。違うよ。私は8月21日が誕生日だよ。」
机を見るとケーキや豪華な食事が並んでいた。
「嘘だろう!!?あー!!やっちまったー!!」
圭太は頭を抱えて叫んでいた。
「本当にごめんな。久しぶりに会ったのに、こんなのひどいよな。誕生日を間違えるなんて。」
私の目からは涙が流れ落ちる。
「ごめん。泣かせるつもりなんてなかったんだ。許してくれ。」
「ううん。違うの。もう、私のことなんてどうでもいいんだて思ってた。自然消滅も覚悟してたから、嬉しくて。誕生日も‥間違ってたけど、覚えていてくれて嬉しくて。」
私の涙が床に落ちる。
「なかなか、連絡出来なくてごめん。寂しかったよな。大きなプロジェクトがあって、それがすむまでは歩保と連絡とるのはやめようと思って。」
私は圭太の服をつかんでいた。
「それは‥私がうざいから?嫌だったから?」
「違うよ。歩保と連絡とったら、俺、歩保に弱音吐きそうだったから。‥歩保のこと好きだから、弱ってるところなんて見せたくなかった。会うときは楽しい気持ちで会いたかったんだ。」
「圭太‥。弱いところ見せてよ。私、嫌いになんてならないよ。弱さなんて誰にだってあるんだよ?私にだって弱いところはある。何を今さら弱さを見せることを恥ずかしがってるのよ。」
涙が止まらない。
「私は‥弱いところ見せて欲しかったよ。悩みでもなんでも言ってほしかった。力になりたかったのに‥。」
圭太が優しく私を抱きしめる。
「本当にごめん。でも‥信じて待ってくれてたんだろう?」
「うん。ずっと待ってた。一人で待つのは辛くて‥寂しかった。」