「もっとちゃんと心結を俺のものにしときゃよかったな」



はぁっとため息をつく。



「……ヒロ」


「自惚れてた。心結は俺を好きでいてくれるって。でも、俺が……よそ見ばっかしてた。今じゃ後悔だらけだな」



自虐的に笑う。




「ヒロ、ごめんね」


「心結は悪くないから。悪いのは心結を手放した俺。自業自得だ」



あたしの頭を撫でる。



「たしかに今じゃなくて前に言ってほしかった言葉ばかりだけど……でも、ありがとう」



ヒロにペコリと頭を下げる。


〝好き〟と言われて、嬉しくないわけがない。
そのタイミングが遅かっただけ。



「ところで、さっきの俺の友達なんだけど……」


「うん。初詣であったよね」


「知り合いだったの?」


「……ううん。ていうか、あたしが電話してた悠貴とヒロの友達の悠貴が同一人物なんて知らなかったの」



あたしはいつからこんな簡単に嘘をつけるようになったのだろうか。



「俺のせいでせっかく会えたのにぶち壊しちゃったな。あとで悠貴に謝っとく」