「ヒロッ!腕痛いっ」



いい加減腕が限界で、前を歩くヒロの背中に向かって叫ぶ。



「……悪ぃ」



あたしの声にハッとした様子で腕を離す。



「ヒロ、あたしは逃げも隠れもしないから」



きちんと話をしようと思った。
悠貴よりもいまはヒロをなんとかしなければ、あたしは次に進んじゃ行けないような気がする。



「……俺は」


ぼそっとつぶやく。



「え?」


「心結が今でも好きだ……って、知ってるか」



頭をガシガシっとかく。



「……ありがとう、ヒロ」



もう少し早くその言葉をたくさん欲しかったけど。



「心結は、悠貴か小西のどっちかが好きなんか?」



あたしをぎゅっと抱き締める。



「……ヒロ」



ヒロから離れて手を取る。



「ごめん、ヒロ」


「……っ」


「ヒロのことは大好きだけど、前みたいな気持ちじゃないんだ」


「……だよな」


ヒロはふっと笑う。


──この人のこと、すごく好きだった。
いまはもう違うけど。