「ねぇ、ヒロ」



ヒロの部活がないというので、2人で帰る久しぶりの放課後。



「ん?」


「練習、しないの?」


「こんな寒い中外でやったら風邪ひくだろーが」



あたしのマフラーをぎゅっと縛る。



「苦しいよー」



季節は冬。
北海道の冬は寒いから。
外で部活なんかできなくて、体育館が使えない日は部活は休みになる。



「なんだよ、そんなに練習したいのかよ」


「部活ない日の練習はヒロを独り占めできるから……」



なんて可愛いセリフでも吐いてみる。



「おまっ、なんだよそれ。反則だっつーの」



ぐいっとヒロに引き寄せられる。



「……ヒロ」


「んな可愛いこと言うなよ。急に」



抱きしめられて、いつもより近くにヒロの声を感じる。



「だって本当のことだもん」


「俺のどこがいんだろーなって思うよ。俺こんなんだし」



ヒロは浮気ばかりしてるくせに、浮気がいけないこととはわかっていて。
そしてそれを隠すつもりもないみたいで。