「今日、うちで練習試合だから来いよ」


昼休み。
かすみとお弁当を食べていると、ヒロがやってきた。



「え?なんで?」


「俺の勇姿みたくないのかよ」


「そりゃあ……」



見たいけどマネージャーとヒロがいるところを見るのは嫌だ。
また傷つけるんだ、ヒロは。



「優花ならいないから」


「え?」



優花とはサッカー部のマネージャーだ。



「優花いるから来ないんだろ?」


「あ……」


「あんたねぇ、分かってるならちゃんとしなさいよ!」



かすみがヒロを睨みつける。



「別に俺は何もしてねぇよ。あっちが勝手にくるだけで」


「拒否ればいいじゃん!」


「来るもの拒まずなんでね」



舌を出して開き直る。



「なんでこんなやつがいいの?信じられない」



かすみがはぁっとため息をつく。



「心結ちゃんは俺のことが大好きだからねー」



あたしの頭をポンポン撫でる。



「ほんとにいないなら行く……」



ヒロに頭を撫でられれば幸せな気分になって、こうして従ってしまうんだ。