「……知ってる」


「え?」


「付き合ってるとき、心結そんな話してた」



少し言っただけであろう、その言葉を覚えていてくれたことに胸が暖かくなる。



「あたしね、道英通ってるんだ」


「……道英?」


「うん。悠貴が入ると思ってて。大学行けば会えるんじゃないかって」


「……っ」



悠貴の目が見開いていく。



「結局、いなかったけど。元々行くはずだった専門に行ってれば悠貴に会えたんだーと思うと少し悲しいね」



大学にいくか、専門にいくかまよったとき。
大学に行こうと決断したのが悠貴の存在だった。

まさか、それが逆の結果になるとは。



「俺もだよ」



ボソッと悠貴が呟く。



「え?」


「俺も、本当は道英のつもりだったけど心結がいるかと思って選んだんだ」


「……同じことしてる」



悠貴とあたし顔を見合わせて、プッと吹き出す。



「俺はいまでも心結とまた一緒に……って考えなんだけど」