「いや、俺もあそこは女の客しか見えないから嫌だって言おうと……」



あたしの勢いにびっくりしてるヒロ。



「あ、なんだ……」


「なんでそんなに拒否?ああいうところ好きそうなのに」


「いや、なんとなくかな……」



ヒロは悠貴がここで働いてるって知らないけど、なんて誤魔化したらいいかなんてわからなかった。



「あっち行こうぜ」



ヒロが指さしたのは、アタシ達がよく行く居酒屋。



「飲むのー?」


「明日休みだしいいじゃん」


「まぁ、いいけどー」



そんな話をしながら、いつもの居酒屋へと向かった。

あの頃、高校生だったあたしたち。
今ではお酒を交わして、愚痴を言ったりすることもある。

ふと、悠貴と別れたときにもしお酒が飲める年齢だったら。
きっとヤケ酒に走ってただろうななんて思う。



「ちょっとトイレ行きたい」


「ん、席あそこみたいだからカバン持ってくよ」


「ありがと」



手を差し出した、ヒロにカバンを渡してトイレへと向かう。