「……ヒロ」


「悠貴の名前聞こえてきた気がするけど……」


「あ、うん。大学一年の春にはもう彼女と付き合ってたんだって」



隠すのも申し訳なくて、でも悠貴の話をするのも申し訳ない。



「なんで、有田が知ってんの?」


「その頃に一度会ったの……」



眉を下げて申し訳無さそうに言う。



「有田は心結がずっと辛い思いしてたの知ってたのになんで言わなかった?」



真剣な顔をしてあたしの隣に座る。



「……っ、ごめん。悠貴くんに言わないでほしいって言われてて」



いつになく真剣なヒロにいつもは悪態ついてるかすみも素直に答える。



「ふーん。悠貴が……」


「……ヒロ、悠貴のことはもうなんとも」


「俺に気ぃつかうなよ。心結が悠貴のことまだ忘れられてないのは分かってるから。それでも俺はいいんだから」



ヒロの優しい瞳に胸がきゅうっとなるのはなんだろう。
これが好きということではないのだろうか。