「なんだよ、彼氏持ちかよー」



男2人はそのままあたしたちに背を向けて歩き出す。



「大丈夫？ヒロの彼女だよね？」


「あ……たしか、郁人くん……？」


「そうそう」



郁人くんはニッコリと笑う。



「ありがとう。助けてくれて」


「いえいえ、誰かと待ち合わせ？」


「あ、うん。ヒロ」


「え……？ヒロ？」



あたしの言葉に怪訝な顔をする。



「どうかした？」


「いやぁ……うーんと、中学のときの仲間たちとさっきまでいたんだけどヒロもそこにいたから」


「……え？」



電車の中にいるとかじゃなかった。
ヒロはもうお祭りにきていた。



「ほら、あそこ」



駅前の広場にある出店の前。
ヒロの腕に触れている女の子の姿。
二人じゃなくて、他にも男の子や女の子がいたけど。



「またか……」



ヒロの誘いを真に受けたあたしがばかだったんだ。

彼はこうして、他の女の子を優先するのはいつものことなのに。