「もう心結と付き合ってく自信ない」



これだけは言うつもりなかったのに。
俺から出てくるのはそんな言葉だった。



「悠貴!嫌だよあたし!」


「……なぁ」


心結を通り越して、俺らのやり取りを見てるあいつに目をやる。



「え?俺?」



キョトンとした顔で返事をする。



「一緒にいてやれないから、心結のこと頼むな」



こんなこと、自分以外の男に頼みたくなんてなかった。



「悠貴!別れたくないよ!」



頬に涙を流す心結。



「もう一緒にいてやれない」


「……悠貴」


「付き合ってる間、幸せだった」



ポケットから小さな箱を取り出して、心結の手に乗せる。



「一日早いけど、メリークリスマス」



心結を抱きしめて、すぐに離す。



「悠貴!」


「じゃあな」



離れられなくなると思い、すぐに背を向けて歩き出す。



「悠貴!」


俺を必死に呼んでいたけど、振り向くことはしなかった。

多分このままだと俺は自分が自分じゃなくなる。
いつか、俺がもう少し自分を持てたら
そのとき、また出会えたなら……。