「悠貴!」



バイトが終わって、お店を出ると向かいの塀によしかかってスマホを見てる悠貴が見える。



「心結、お疲れ」



駆け寄ったあたしをぎゅっと抱きしめてくれる。



「癒されるー」



好きな人の腕の中ってどうしてこうも癒されるのだろう。



「そんな可愛いこと言っちゃって」



悠貴があたしの頬を両手で包む。



「悠貴のこと大好きだもん」


「俺も好きだよ」



悠貴に触れられた頬が暖かくなる。



「キス、しちゃいたいところだけど……見られてるから行こうか」



あたしの後ろに目をやる。



「あ……唯斗」



後ろを向くと、ゴミ袋を手にした唯斗が立っていた。



「同級生の家の前でいちゃつかないでもらえますかー?」



なんて意地悪な笑みを浮かべてる。



「ゆ、唯斗の家じゃないでしょ!」



そんな反論しか口からは出てこない。

でも、唯斗が不機嫌になってないことだけが救いだった。