「なんかその元カレの雰囲気、俺みたいだった」


「……たしかに」



ヒロと唯斗はたしかに雰囲気が同じような感じかもしれない。
浮気者ところも似てる、なんてね。



「なんか俺に雰囲気が似てるだけで、俺充分だったんだ」



切なく笑う。



「あの頃、唯斗のこと早く忘れたくて。少し似てる元彼に恋した」


「俺、ほんと充分だわ」



こんなふうにあたしのことを思ってくれるときがくるなんて。
あの頃のあたし達じゃ想像もできないことだった。



「あっ」



あたしのポケットからはみ出てるストラップに触れる。



「あ、これね……」


「まだつけてたんだ。つーか俺も」



ポケットからスマホを出す。



「本当だ」



このストラップは唯斗との思い出の品だった。
なんとなくだけど、好きじゃなくなってもこれは宝物だったから。



「心結がストラップ大切にしてくれてるって知れて充分」



安心しきったような顔になる。

すべてはタイミングの問題だった。
でも、あの時こうしていたら、なんて考えるのはやめよう。

あたしはいま悠貴とって考えしかないんだから。