「あ、心結」


柊哉の実家であるケーキ屋のドアを開けようと手をかけると、同時にドアが先に開く。



「柊哉」


「来たんだね。どうぞ」



笑顔であたしを手招きする。



「どこか行くんだった?」


「うん。遊びにね。今日から頑張ってよね」



あたしの肩にポンっと触れる。



「柊哉ー、俺ももう行けるけど……って、あっ……」



店の中からでてきた懐かしい顔にあたしの動きは止まってしまう。



「俺も行けるよ」



そんなあたしに構わずに、柊哉は返事をする。



「待って、心結今日からとか俺聞いてないんだけど!」




あたしの動きを止めた張本人は、あたふたと慌てだす。



「……柊哉、どういうこと?」


「どういうことって、俺と唯斗は友達のまんまだけど」


「違う。唯斗エプロンしてたよね?ここでバイトしてるの?」



目の前に現れたのは、あたしが中学の頃ずったと好きだった相手。