「お兄ちゃん!」



校門にいる車に向かって、かすみが走り出す。



「お疲れ様ー。お、心結ー。久しぶりだな」



あたしの頭にポンっと手を載せる。



「しばらく会ってなかったもんねー」


「会わないうちに大人っぽくなったなー」



なんて笑ってる。



「お兄ちゃん、妻子持ちのくせに口説かないでよ」


「はー?口説いてねーし。いいから乗れよ」



奏汰くんは奥さんも子供もいるんだ。



「おじさんなんだからさ、セクハラ訴えられるよ?ちなちゃんに言いつけるからね」



かすみが楽しそうにわらってる。



「変な言いがかりやめろよー。出発するぞー」


「はーい!」



かすみは昔からなんだかんだいって、お兄ちゃん子。
そして、奏汰くんはあたしたちの憧れだった。



「心結ー、優生元気か?」


「……ん?」


「いや、だから優生元気か?って」


「あ、お兄ちゃんか。元気だよ、たまに帰ってくる」



びっくりした。
なんで、奏汰くんが悠貴を知ってるのかと焦ったよ。