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「心結」


「お兄ちゃん!また来たんだ!」


「カズが行きたいって言うからね。オフだから来たよ」



お兄ちゃんの後ろをみれば、カズくんがいた。



「……カズくん」



この前、電話で〝好きになるかも〟と言われて以来だからなんだか気恥しい。



「ねぇ、心結と散歩行ってきていいですか?」


「は?どうぞ」



お兄ちゃんがシッシッとあたしたちを追いやる。



「え?」


「行こう、心結」



あたしの手をすかさず握るカズくん。



「ちょ、カズくん……」


「今だけ、デート気分」



なんて切ない顔で言われて、手を振りほどくこともできない。



「……っ」


「ごめんね、今だけでいいから。本当に」


「……カズくん」


そっと繋がれていた手はあたしの指と絡まって恋人同士のつなぎ方になっていた。