『別にやるやらないで優しいかどうかは決まらないよ』


「もう、自分だってこの前初めてだったくせに」


『その時はいつか来るの!覚悟して行きな!』



もう、どうしてかすみとあたしはこんなにも違うのだろう。
かすみは初めて小西くんとそういう雰囲気になりそうなとき、どんな心構えだったのだろうか。



「どうしたらいいのかわかんない……」


『たぶん、あっちは初めてじゃないでしょ』


「……そうなのかな」


『リードしてくれるから大丈夫』



それはそれでなんだか嫌だ。
あたし以外と肌を重ねて欲しくない。
それがたとえ、過去であっても。



「でも、前にもあったのかなとか考えたくない」


『いいから、安心して悠貴にすべて委ねなさい!』


「は、はい」



かすみの叫びにあたしは肯定の返事をすることしかできなかった。



『ほら!時間になるよ!行っといで!』


「ありがとう行ってくる」



かすみはいつもあたしの先を歩いてる。
あたしを正しい道へと導いてくれる。