「っ……」



ベッドに横たわっていると聞きなれた着信音が鳴る。



「出ないとダメだよね……」



ゆっくり起き上がって、スマホを手にする。



「ふぅっ……」



大きくため息をついて、スマホの画面に触れる。



「……もしもし」



震える手でスマホを持つ。



『今、大丈夫?』



スマホからは大好きな人のが聞こえる。



「……うん」


『今日はゴメンな』



悠貴がポツリと言葉を落とす。



「なんで謝るの?」


『……え?』



悠貴の声が困惑の色に変わる。



「ああやって言ったのは、あたしの存在を気づかれたくなかったからでしょ?」



口が勝手に動いていた。
こんなことを言いたかったわけではない。

言わなければいいのに、言ってしまっていた。



『……そんなんじゃないよ』


「そんなわけあるんだよ。現に言えなかったんだもん」



自分で言いながら、涙が溢れてくる。

そんなことなければいいって思ってる。
でも、なかったことにはならない。

好きなのに、どうしようもないこともある。