今は7月。
あと何週間かで夏休みが始まる。


夏休みがはじまってすぐに、悠貴と小西くんは部活の遠征に行ってしまう。

寂しくないと言ったら嘘になる。

三週間も会えないなんて付き合ってから1度もないから、不安もある。

でも、小さい頃から頑張ってきたサッカー。
それを止める権利はあたしにはない。
それに続けてほしいと思ってる。

怪我をして悩んでいた悠貴をずっと見守ってきたつもり。 電話越しでだけど。

頑張ってる姿を見たい。
悠貴はキーパーなんだって。

気づけば、間違い電話の出会いから1年はゆうに経過してた。



「俺ら電話で出会ってからもう1年以上経ってるなー」


「うん、おなじこと考えてた。あっという間だったね」


「俺いないからってヒロに手出しされんなよ」



あたしの顔をのぞき込む。



「もう、ヒロだって最近は全然関わってこないよ」


「クラスかわったんだっけ?」


「うん。二年になって別のクラスになったよ」



ヒロとはクラスが離れてから話すことはほぼなくなった。

寂しいけど、ヒロを選ばなかったのは自分だから。