「……あっ!」


悠貴が急に立ち止まる。



「ん?」


「いや、なんでもない」


悠貴が口ごもるっていて、いつもと違う。

……どうしたんだろ?



「あれー?心結ちゃんじゃん!」


「え?」



前の方からそんな声が聞こえて顔をそちらに向ける。



「……上田くん?」



同じクラスの上田くんがこっちに手を振っていた。


「おーい!ヒロ!彼女来てるぞ!」



受付の窓口の方に向かって叫んでる。



「……え?」


上田くんの目線を辿れば、ヒロが気まずそうな顔をして立っていた。



「……さっき気づいた」


「あーだからか……」



さっきのはヒロに気づいたからだったんだと理解する。




「心結ちゃん、浮気ー?」



上田くんがわざわざあたしのところまで歩いてくる。



「バカっそんなんじゃねぇよ」



ヒロが走ってきた上田くんの頭を叩く。