「ごめん……」


「いつ?」


「最初は知らなかった。つーか彼氏いることも知らなかった」



俺は全てをヒロに打ち明けることにした。
黙ってるわけにはもう行かない。
真剣な表情のヒロに俺も答えなきゃと思う。



「うん」



俺の言葉に静かに耳を傾けてくれる。



「俺、郁人にだけ電話してる子の名前教えててさ」


「待った、なんで郁人はそこで俺のこと言わねぇんだよ」


「さぁ、それはわかんないけど……。でさ、練習試合のときに初めて心結のことみたじゃん」



ヒロの言葉にたしかにとは思ったがそのまま続けた。



「で、そこでアレが心結だってあとから聞いてさ。ヒロの彼女かよ……ってなった。でも、俺ももう後には引かなかったから。ごめん」



ヒロに向かって頭を下げる。



「ムカつくけど、心結に惚れる気持ちはわかる」


「あー……」


「だからもういい。好きなもんを止めるつもりもないし、今の俺にはなんの権利もないから。ただ、俺も諦めないってだけ」



にこっと笑うヒロに心底ほっとする。



「正々堂々といくな」



どっちが選ばれるかなんてわかんない。
でも、これからはヒロに嘘をつきたくない。
遠慮もしたくない。

──それが俺らだから。