「あんなののどこがいんだかね」



一部始終を見ていたかすみがはぁっとため息をつく。



「さぁ?」


「さぁってあんたもだわ!」



カバンであたしの背中を叩く。



「痛っ!あたしだってわからないよ。嫌いになれたら楽なのにって思うよ」



でも、好きなんだもん。
すごく好きだから、オープンに浮気をするヒロなのに嫌いになんかなれない。



「そのくせ独占欲だけは人一倍あるし」


「ふふ。そうだね」



さっきだって、ほかの人を好きにならないように牽制してきた。
独占欲出されると、想われてるって勘違いしちゃってその瞬間はとても幸せなの。



「ふふっじゃないよー。どうせヤキモチが嬉しいとかおもってんでしょ?」


「よくわかったねー」


「そのぐらいわかるわ!」



ふたりでこんな話をしながら教室へと向かう。

かすみとは気を遣わなくて済むから本当に大好き。
かすみが男なら迷わずかすみと付き合うのになって思う。



「とにかく電話の彼と仲良くなって、見せしめだよ」



あたしよりも意気込んでいるかすみがやっぱり大好きだ。