思いきって母に聞いた。

「竹本蒼汰君って知ってる?」

その名前を聞いた時に母の顔色がかわったのを見逃さなかった。

「しっ知らないわ、そんな人..」

「嘘つかないで。真実が知りたいの」

母は、深いため息をして、腹を決めたように口を開いた。

「蒼汰君はね、花香の幼なじみよ。
これはずっと言わないでおこうと思っていた。
けれど仕方ないわね。
あなたは、交通事故にって昔に記憶を失ったの。」