ヒミツにふれて、ふれさせて。



着ている制服が違う。はいている靴が違う。持っている鞄が違う。わたしの学校は靴と鞄は個人の自由だけど、リョウちゃんのところは、学校の指定されたやつだ。

…でも、こうやって歩いていると、やっぱり昔から変わりはなくって。少し環境が違っていても、わたしたちは変わらないんだって思わせてくれる。

そう思っている。少なくとも、わたしは。


「…なぁ、めご」

「んー?」


少しずつ、太陽が傾いている。最近、陽が沈むのが遅くなった。秋になったからだ。

だから、名前を呼ばれて振り向いた時には、ちょうどリョウちゃんの頰あたりに太陽が隠れていて、彼の顔を照らしてくれていた。

…とっても、きれいだった。


「俺さ、中学でお前に会った時、すぐにお前のこと好きになったんだよ」

「…え?」


突然、何を言い出すのかと思ったら。ニッと笑ったリョウちゃんは、子どもっぽく笑って、わたしの方を見た。


「…恥ずかしくて言えてなかったけど、めごのこと、実は一目惚れだったんだよね」

「そうなの…?」

「うん。クラスに入った時、お前が、友達と笑ってんの見て、その顔がすげー可愛いと思っちゃったんだよね」

「…っ」

「それから、お前のことばっか考えるようになった」


どうしちゃったの、と言いたくなるくらい、リョウちゃんは次々と嬉しい言葉を連ねていく。

こんなこと、今まであんまり言われたことなかったからビックリしてしまった。思わぬサプライズに、心臓がキュッと音を鳴らす。


「…お前が、俺に笑いかけてくれるようになった時は、すげー嬉しかったんだよ。それは、今も同じな」

「…リョウちゃん」


———あぁ。太陽が、リョウちゃんの顔を照らしていて、それが、とてもとても綺麗で、吸い込まれそうで。

…まるで、完熟したオレンジから流れるようなその色に、涙が出てしまいそう。