「それで、リョウちゃん今日どうするの?」
久しぶりに会えた嬉しさで、胸が踊る。「んー」と考えるリョウちゃんを横から見ているだけで、ものすごくドキドキした。
「今日は、どこに遊びに行くと言うよりはさ、ちょっとお散歩しようよ」
にっこりと笑う、愛しい人。あまりにも優しい笑顔を向けてくれるものだから、わたしもとっても嬉しくて、「うん!」と、小さい子どものように答えてしまった。
それと同時に、するりと繋がれた手。リョウちゃんの手は、いつもわたしより温かい。
「…めごの手って、ほんとちっちぇーんだな…」
「そうかな?」
「…ん、そーだよ。いつも、小さくてびっくりする」
わたしたちは、あまり恋人繋ぎというものをしない。リョウちゃんは、わたしの手を小さい子どもの手を握るように繋ぐ。
でも、わたしにはそれが心地よかった。恋人繋ぎよりも、リョウちゃんの体温をより感じてられるような気がしたから。
それからわたしたちは、そのまま西口から出た道をまっすぐ歩いて行った。
小さなトンネルの下を通って、太陽の届かない、少し肌寒い道も進んで行く。
「あ、リョウちゃんの家通り過ぎちゃったね。このまま行くと、ハニーブロッサムがあるねぇ」
「あぁ、あのケーキ屋な。よく行ったよな、中学の頃から」
「そうそう〜!また行きたいね。最近行ってないもんね」
思い出を語りながら、ひたすら歩く。別に特別なことをしなくても、わたしたちはそれだけで充分すぎるくらい、楽しかった。



