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特別なことが待っている放課後は、やっぱり長かった。
珠理や元カノさんに会うと、また面倒なことに巻き込まれそうだなと思って、その日1日はお昼もいつもと違うところで食べたし、放課後もすぐに飛び出してきた。
急いで鎌倉駅に向かう。7限のあとに、補修のような時間があるうちの学校は、待ち合わせ時間ギリギリだ。でも、それを理由に遅れてしまうと、リョウちゃんはきっと良い気はしない。
それはよく分かっているから。
「リョウちゃん!」
…だから、走って待ち合わせ場所に向かって、何とか時間に間に合わせる。
「……めご、」
西口を出たところの時計台。そこが主に、わたしたちの待ち合わせ場所だった。付き合い始めた頃から、ずっとそうだ。
「リョウちゃん、早いね。もう来てたんだ」
「ん、今日は部活もなかったし、早く終わったから」
「そっか」
リョウちゃん宅は、本当はうちの中学の学区ではない。けれど、わたしたちが中学に入学する前まで、地区大会の首位に上り詰めていたうちのサッカー部に入るために、学区を超えて通っていたのだ。
残念ながら、その後は強豪と呼ばれるには程遠い成績しか残せなかったらしいんだけどね。
でも、サッカーをしているリョウちゃんは、相当かっこいい。だけど、最近はほとんど見れていないから、同じ学校の子が少し羨ましいんだ。
…なんて、そんなこと絶対に言えないんだけれどね。



