「…じゃ、ごめんね邪魔して。珠理、行くよ」
「…」
気を使ってくれたのか、近海くんはすぐに背中を向けてわたしたちの前からいなくなった。
美濃珠理を、引きずりながら。
美濃珠理は、結局ひと言も発しないまま、わたしの方をじっと見ていただけだった。どう思ったのかはしらないけれど、でも、何か聞かれても困るだけだったから助かった。
「…さっきの、高校の友達?」
4人の背中をしばらく見つめていると、隣にいたリョウちゃんがボソッと呟いた。
「あ…、うん、そうなの。最近なぜか知り合って…」
「ふーん」
知り合ったキッカケがリョウちゃんも関係なくはないって言ったら、きっと色々めんどくさいんだろうなあ。黙ってよう。
「この間、土曜日空いてる?って聞かれたんだけど、まさか同じところで遊んでるとはって思ってびっくりしちゃった」
「…」
リョウちゃんが黙った。声をかけてきたのが、あの近海くんっていうだけで衝撃だった。近海くんもただでさえカッコよくて目立つのに、それに美濃珠理だ。
…あとの女の子2人も、かなり美人だった気がする。ちゃんと見えなかったけど。
リョウちゃんの知らない世界を見られてしまうって、どうなんだろう。でも、友達だし、会ってしまったら仕方ないよね。
…なんて、思っていたけれど、次の瞬間に落ちてきた言葉は、ものすごく冷たいものだった。
「…チャラくて、頭悪そう。なんであんな奴らが鎌倉東?意味わかんねぇ」
「…」
……あ、まちがえた。



