頰を伝っていた涙を、親指で拭われた。
何も言わないで、やさしく触れるその手のひらが、今ではひどく愛しい。
「…泣いた顔も、すきよ。アンタの全部が、アタシには可愛くて仕方ないんだから」
やさしい瞳。じっとわたしを見つめる目が、わたしに気持ちを伝えてくれる。
…そうだね。今、目の前にいる珠理は、わたしのことが大好きだ。それは、いつも伝わってきているよ。
「めごの全部がすき。生きてきて唯一、アタシがすきになった人。何が何でも、幸せにしたいって思った人よ」
「…うん…」
降りてくるくちびるを合図に、目を閉じた。
やさしく触れるそれは、わたしへの想いを刻み込もうとするように、頰や目元など、色々なところをなぞっていく。
そして一度くちびるに帰ってくると、少しだけ深いキスをされた。
「…っ、しゅ、り」
「…」
名前を呼んでも、触れ合いは止まらない。
珠理にすべてを任せて、だんだんと力が抜けて行くのを感じていると、いつの間にか背中と足元に回されていた腕に、力が入ったのが分かった。
「…えっ、」
はっと我に帰る。ぐらっと視界が回ったと思ったら、次の瞬間にはもう、柔らかいものに沈んでいた。
それがベッドだと気づいた頃には、視界はすでに、珠理でいっぱいになっていた。



