ヒミツにふれて、ふれさせて。



「成実は、わたしの弟だよ。今中学3年」

「え!?めご、弟がいたの!?!?」

「え…?うん…」


そうか、やっぱり言ってなかったんだ。でもまあ、うちに来たのも初めてだし、ひとりっ子だと思われてても仕方ないよね。部活部活の中学生だったし。今はもう引退したけど。

…そう、桜井 成実は、わたしの弟だ。


「…めごと話すようになって3回くらい季節が変わったのに…まったく知らなかったわ…。てか、カミングアウト遅すぎない…?」

「なにカミングアウトって。別に隠してたわけじゃないよ」


珠理の顔が余計に強張った。ずっとひとりっ子で生きてきたこの美青年は、キョーダイがいる環境に慣れていないらしい。

…それもそうだよね。今までずっと、オジサンとふたりで住んできていたのだから。


「大丈夫大丈夫。あんたがビビることなんて何もないよ」

「いや、ビビるわよ…。『お前みたいな気持ち悪い男に姉はやらない』とか言われたら、アタシ立ち直れないわ…!」


わあっと、泣く真似をする珠理。ていうか今、気持ち悪い男って自分で言ったよね。誰もそんなこと言ってないのにそんなこと言うってことは、少しは自覚あるってこと?



そんなこんなしているうちに、玄関の鍵が開く音がする。ガチャリという音に、ビクッと跳ねる、大きな珠理の身体。

…どんだけビビってるんだ。たかがわたしの弟に。


「っあ〜〜、さっみ。たで〜ま〜」


もこもこのジャージに、もこもこのレッグウォーマー、そして耳あてをして、縮こまりながらリビングに入ってきた成実。我が弟ながら、女子並みの寒がり感。


「あ、おかえりなさい、成実。牛乳買ってきてくれた?」

「…おう。いつものやつでいーんでしょ。はい、コレ」

「そうそう、ありがとう。あ、そうだ成実。今日はめごちゃんの彼氏さん来てるからね。挨拶しなさい」

「え?ウソまじ…、って、え!?!?」


まさか、わたしたちがリビングにいると気づかなかったのか、視線を動かした時に目が合って、めちゃくちゃ驚かれた。

…初対面なのに牛乳買ってきたところを見られるなんて。まぁいいけど。