ヒミツにふれて、ふれさせて。


・・・


珠理と一緒にわたしの家へ帰ってきた頃には、もうお母さんが張り切って夕飯を作っていた。
いつもは仕事から帰ってきたら、わたしたちが帰ってくるまでのんびりしているのに。


「おかえりなさい〜!あ、珠理くん!クリスマスぶりね、いらっしゃい」

「お邪魔します。突然すみません」

「いいのよう。おいでって言ってたんだから!それに、どうせめごが突然言い出したことなんでしょ」


笑いながら、ひき肉をこねているお母さん。となりにキャベツが丸ごと用意されている。今日はロールキャベツかな。

珠理は、初めて入ったわたしの家に少しだけ驚いた顔をしていた。どうしていいのか分からないというように、突っ立ったままになっていたから、とりあえず荷物を置くように伝えて、洗面所に連れて行った。手を洗うためだ。


「あ、めご。成実(なるみ)と会わなかった?今あの子、近くのコンビニまで行くって言ってたんだけど」

「えー?成実?」


洗面所で、ふたりで手を洗っていると、台所からお母さんの叫ぶ声。


「見てないよ。なんで?」

「んん、牛乳買ってきてってお願いするの忘れちゃったのよ。あの子、全部飲んじゃったみたいで。連絡しといてくれる?」

「はいはい、わかったよ」


もう。本当に人使いが荒い人だ。

手を拭いて、ポケットからスマホを取り出してメッセージを開く。
その様子を、珠理はとなりでどこか不思議そうに眺めていた。


「…ん?どうしたの?」


スマホをいじってるの、そんなに珍しい?


「……いや、あの、ナルミって、誰なのかしらって、思って…」



…あれ?

わたし、珠理には説明していなかったんだっけ。