その日、年が明けたばかりだと言うのに、担任の先生は頭が痛くなるようなものを持って、教室に入ってきた。
「…ええ、何これ…」
思わず、声が漏れる。今までも数回書かされてはきたものの、まさか始業式からこんなことをされるなんて。どういうことなんだ。
「年明け早々に見たくないかもしれないが、お前たちももう、次で3年だからな。これから1年、忙しくなるぞ。ある程度の進路は決めておかなきゃいけないから、ちゃんと書けよ〜」
「…」
——進路希望調査表。
そんな文字が並べられて、やる気の出る人がいたら教えてほしい。
うちは地域でもそこそこの進学校だから、こんなの当たり前だし、これからのことは今から考えなきゃいけないってのも分かるけど。
…もう、そんな歳になってしまったのか。
「うわー、ついに来たね。めごは進学?」
「…うん、まぁ。大学には行きたいなって思ってるから」
「そうだよねぇ〜」
「…」
…進学か、就職か。進学をするなら、どの大学に行くのか。今までだって、何度か面談だってあったけど、今度こそ本格的に考えていかなきゃならない。そういうことだ。
「面倒くさいけど逃げられないよねぇ。そうだ、ミノくんはどうするの?なんかそんな話してたりする?」
「………え…?」
…そう言えば。
うちのクラスでこれが配られてるってことは、きっと珠理のクラスでも配られているってことだよね。
“ 高校3年生になってからでもいいの ”
「………」
…サユリさんは、あぁ言っていたけど。本当に珠理は、どうするんだろう。
「…分かんない。まだ具体的には話し合ってないんだ」
「そうなんだ…。近くの大学とかだったらいいよね。一緒にいられるし」
「…うん」
…そうだ。進路ってことは、そういうのも考えなきゃいけないんだ。
珠理が、アメリカに行かなくたって。
…離れる可能性は、あるんだ。



