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——冬休みが終わる頃には、サユリさんはアメリカに帰ったと、珠理から直接聞いた。
「…あ、めご!久しぶり」
からだの芯まで冷たくなるような、そんな年明けの学校。
いつも通り、わらわらとクラスに入って行くクラスメート。そして、いつもの時間に教室で待ってくれている、瀬名。
「あけましておめでとう、瀬名」
「あけおめ〜!やっぱりお正月は忙しくてなかなか会えなかったね」
「うん、そうだね」
マフラーを外して、冷たくなった席に座った。
ブレザーのポケットからスマホを取り出すと、早速入っている珠理からのメッセージ。
『おはようめご♡今日からまた毎日学校で会えるわね♡』
「…」
…結局、珠理に会えたのはクリスマスだけ。そこから年末、お正月にかけては、お互い親戚の家を回ったりしていたから、なかなかタイミングが合わず時間がとれなかった。
でも、毎日ちゃんと送られてくるメッセージに、わたしは安心させられていたんだ。
「ねえねえ、めごは冬休み何してたのよ。ミノくんとはゆっくりできた?」
「……あー」
何も知らない瀬名。身を乗り出して聞いてくる。でもまさか、珠理のお母さんに会って、アメリカに行くかもしれない話をしていましたなんて、思わないよね。
「クリスマスに少しだけ過ごせたくらい。あとは、色々あって会えなかった」
「…そうなの?でも、これからは毎日会えるじゃない」
「うん、そうだね」
——“ 毎日会える ”
それが、どれだけすごいことなのか、最近になってようやく気がついたよ。
…あれから、珠理はサユリさんの件について何も話さない。普段から連絡はとっているから、電話とかはかかってきているのかもしれないけど。
でも、わたしから色々話しても、きっと珠理はそれを望んでいないから、話題にあげるのはやめたんだ。
「…あ!めご発見〜〜!」
「…っ」
色々と考えを巡らせていると、廊下から声が響いた。
…なんだか、久しぶりに聞くような気がする、その声。
「…、珠理」
「めご〜!おはよう〜〜!明けましておめでとう〜〜!」
「…うん、おめでとう」
相変わらず抱きついてくるその巨体。だけど、なんでだろう。前みたいに、鬱陶しいと思わなくなった。



