「…ごめんね。でも、知ってて欲しかったんだ。今までの珠理をこれからも救えていけるのは、きっとめごちゃんだけだから」
「…っ」
“ 残酷だ ” と思う。どうして、たった高校2年生のわたしに話すんだろうって。
こんな現実、突きつけられたくない。わたしはただ、珠理と一緒にいつも通り生きていきたいだけなんだって。
まだまだ、やりたいことはたくさんあるのに。突然やってきて、紹介されて、とんでもない話を持ち出してこないでって。
…そんな、最低なことも、少しだけ思ってるんだよ。
でも、やっぱりそれだけじゃダメなんだとも思う。こんなに子どもっぽい思考回路じゃ、ダメなんだと思う。
「…まぁ、珠理がサユリのところに行くなんてことは、考えられないかもしれないなあ。離れてから何度も送られてきていた手紙も、しゅーくんは読もうともしなかったから」
「……手紙?」
「そう。俺がしゅーくんの写真を定期的に送っていた返事にね。サユリも手紙を送ってきていたんだ。でももう、捨てられてるかもしれない」
「…」
…そんなことも、あったんだ。
じゃあ、サユリさんは離れていても、ちゃんと珠理のことを想っていたんだ。
「まぁ、サユリは俺がなんとかするよ。これからも、珠理のこと、よろしくね」
やさしく響くオジサンの声が刺さる。別れ際に見た、サユリさんの傷ついた顔が消えない。
…震えていた、珠理の指が忘れられない。
珠理には、惑わされるなって言われた。ちゃんと俺のそばにいてって。そう言われたはずだ。
…でも、珠理と離れるのが、一生じゃないんだとしたら。
本当に、1年だけなんだとしたら。珠理がちゃんと、戻ってきてくれるのだとしたら。
離れている間も、ちゃんと繋がっていられるんだとしたら。
何より、珠理本人が、少しでもサユリさんと一緒にいたいんだと思ってくれているとしたら。
「…珠理のこと、支えていきます」
わたしは、珠理の思うようにさせてあげたい。



