「近海とは、幼い頃からのクサレ縁なのよ。アタシがちょっと可愛い女の子寄りの男子になる前から知ってるわ」

「……」


キャッ♡と、頰に手を添える綺麗すぎる美男子に、蹴りを入れたいと思ってしまった。

なんだ、可愛い女の子寄りの男子って。そんなの自分で言うな。そんなのを間近で長年聞かされてきた陸奥くんに心底同情するわ。


「別に、なんで仲良くなったかなんて、あんまり覚えてないし、そんなに大きなキッカケもなかったのよね。でも、気がついたら仲良くなってたかも」

「へぇ〜…。陸奥くん、優しいのね…」

「近海は優しいわよ〜!アタシの恋バナにも真剣に向き合ってくれるし〜」


…恋バナ?


「あっ!これはトップシークレットだった!忘れて〜!」


…いやいや、忘れられないし。こんなオネェ野郎の恋バナほど、ちょっと興味が湧くものはないよ。


「…あんたの、好きな人って…」


男…?それとも女…?なんて聞くのは、失礼だろうか。性に関することなんて、ズカズカ聞くものじゃないのは充分分かっているけれども。

でも、そこのところ、正直、気になると言うか。



「あ、恋愛対象の話?アタシだって、17年くらいしか生きてないけど、今のところは好きな人は女の子だったわよ〜」

「…えっ、女の子が好きなの?!」

「うん、普通に女の子が好きよ。可愛いし、守ってあげたくなるわ」

「…そうなんだ…」



少し、男の人かなって思ってた。でも、そうか。そういう人だっているよね。


性はその人によって違うって言うし。

美濃珠理のカタチは、そうなんだ。