とても大きなことだと思っていた。
珠理からも近海くんからも、サユリさんの話は聞いていたし、今日会うことだって分かってはいたけれど。
ただ、彼氏のお母さんに会うような感覚にはどうしてもなれなくて。もっと大きな、重大なことなんだと思っていた。
…でも、思っていたよりもアッサリと、その出会いは、やってくるもので。
「…サユリ。来る前にちゃんと連絡してっていつも言ってるでしょう」
…珠理が、なんともないようにその名前を呼ぶものだから、この目の前のきれいな女性が、本物のサユリさんなんだってことは分かるけど。
なんだろう、今、わたしはものすごく重要なところにいるはずなのに、なんでかそうは思えない。フワフワしている。夢の中にいるような感覚だ。
「だって、珠理に早く会いたくて急いで来ちゃったんだもん。雄介(ゆうすけ)に聞いたら、こっちにいるって言ってたもんだから」
「はぁ。だったらお店の方で静かに待ってればよかったものを」
「なあに〜?冷たいわねぇ」
…話し方も、仕草も、珠理のお母さんとは思えないくらい、若い。一瞬、姉弟だと思われても仕方ないんじゃないかってくらい。
目元が珠理に似ている。きれいな二重。そして長い睫毛。白い肌。
珠理の隣で小さくなっていると、その整い過ぎた顔は、わたしの方を向いた。
真正面から見ると…本当に迫力がすごい。
「…あ、あの…」
「あ〜〜!アナタが珠理が言っていた女の子ね〜〜!?めごちゃん!!」
「え…!?」
目が合った瞬間に、いい匂いに包まれる。そして、それと同時にからだに乗って来る重み。
…え。わたし今、抱きつかれてる…?



