右を向くと、放り出されたケーキが見えた。どうしたんだろうなんて考えていたら、珠理の大きな手が視界に入って、そのまま頰を覆われる。
「…こっち、見て」
「…っ」
待たないと言わんばかりに、他のところに軽く触れていたくちびるは、そのままわたしのを覆う。
…熱い。
珠理のくちびるは、いつも、熱いんだ。
何度も押し付けられるその温度を感じていると、珠理は長い息を吐きながら、一旦離れて。
「……もっと、していい…?」
静かに、低い声でそんなことを言う。
「…想像以上だったわ。あんな風に、“ あの時 ” と同じような笑顔で言われたら、ちょっと我慢できない」
「…えっ…」
そう呟かれた途端に、再び降ってくる熱いくちびる。
気がつくと、わたしの身体は柔らかいベッドに沈んでいて。
目の前は、珠理のきれいな顔で埋め尽くされていた。
「……めご、すき」
「…っ」
呟かれる、甘い言葉。
それと同時に、今まで感じたことがない熱いものが、口を割って入ってくる。
これ以上ないくらいやさしいのに、逃がさないと言っているようなキス。
初めて触れた、珠理の奥にある本物の温度。
「…めご、こっち見て」
「っん…」
でも、嫌だなんて、全然感じないの。



