珠理は、少しずつラッピングを外しながら、中に入っていたクッキーとマフィンを取り出した。
かたちが整った唇に吸い込まれていくそれを見ると、なんだか照れ臭くなってしまって、少しだけ目を逸らす。
どきどきと運動が激しくなる心臓を抑えながら待っていると、「ん」と、静かに低い声が響いた。
「…おいしい…。めご、アンタやるじゃない…」
目を見開いて、少しだけ驚いた顔をしている珠理。
「…ほんとに? 口に合わなかったら無理して食べちゃダメだよ」
「ほんとに。ほんとにおいしい。甘さもちょうど良くて、丁寧に作られてる」
「…」
うん、そう。丁寧に作ったの。あんたに初めて食べさせるわたしの手作りだから、失敗しちゃうといけないと思って。
…この人には、そんなことまで、伝わってしまうんだ。
「マフィンもおいしい〜!もうほんと、しあわせ過ぎてどうにかなりそうだわ…」
もぐもぐと口を動かしている珠理に、なんだか笑ってしまう。そんなにしあわせそうに食べてくれるとは、思っていなかったからかな。
…でも、よかった。ほんとうに。
「…あれ? 何かしら、これ…。キーケース? 一緒に入ってたんだけど…」
マフィンもクッキーも味見をした珠理は、ラッピングの奥から見つけたらしいキーケースを持っていた。
「うん、それはオマケ。ほんとに大したものじゃないんだけど、珠理っぽいなあって思って」
モスグリーンのキーケース。通りかかった雑貨屋さんで見つけたから、本当についでに買ったようなもの。
「これ…っ、アタシがもらっていいの!?」
「え?うん…だからさっきからそう言ってるでしょ。クリスマスプレゼント」
「まぁー!プレゼントもらいすぎてるから、今回はいらないって言ったのに!」
怒られるかなって思ってたら、やっぱり言われちゃった。でも、仕方ないじゃない。珠理にあげたいものに、出会っちゃったんだもの。
「無理してもらわなくていーよ。いらなかったら返して」
「まっ!そんなことあるわけないでしょう!?」
取り上げようとしたら、秒で隠されてしまった。
なんなんだこのオネェは。



