ヒミツにふれて、ふれさせて。


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家の中に入ると、珠理は早速ミルクティーを淹れてくれた。ミルクはちゃんとお鍋で温めて、紅茶の中に入れる。ひとつひとつが丁寧で、珠理らしいなあって思った。


「すごい。ミルクティーをそんな風に淹れたことなかったよ」


台所に立つ珠理の左側に立って、ほくほくと湯気を出すカップを見つめる。珠理は相変わらずブラックコーヒー。好きなのかな。


「めごには、ちゃんと淹れてあげたいのよ。さぁできた。これ持って上に上がりましょうか。めご、悪いんだけど先に持って行ってくれる?アタシお菓子の準備して行くから」

「うん、わかった」


可愛くて丸い木のおぼんに並べられた2つのマグカップ。それを持って、わたしは先に珠理の部屋に向かった。

…昨日、思いつきで急いで焼いたお菓子、ちょうど良かったかも。ケーキ屋さんの珠理に食べさせるのは、少しだけ緊張するけど。



珠理の部屋に入ると、落ち着いた空気に包まれた。立ち入るのは3回目。でも、付き合ってからは、初めてだ。

相変わらずきれいな部屋。片付けているのかもしれないけど。


カップをテーブルの上に置いたら、前に珠理が座っていたビーズクッションに背中を預けた。

ずんと沈んでいく身体。前回来た時は、珠理はここで、わたしのことを抱きしめてくれたんだっけ。

…なんだか、照れる。別に、あのオネェに抱きしめられるのなんか、慣れてるけど。



「めご、お待たせ。…ってあら、さっそくリラックスできてるわね」


ぼーっと、想い出に浸っていると、たくさんのお菓子を持った珠理が部屋に入って来た。

ビーズクッションにうつ伏せに埋もれているのを見られて、少し恥ずかしい。


「ご、ごめん勝手に…」

「はは、いーのよ、ゆっくりしてて。てか、埋もれてるの可愛いわね。写真撮っていい!?」

「はー!?何言ってんの勘弁して!」


お菓子をテーブルに置いた途端、スマホを取り出すオネェ。突拍子も無い行動に、慌ててスマホを取り上げた。

まったく、油断も隙もあったもんじゃない。