「う…ん。いちおう……、付き合って…ます…」
「はははは!いちおう!」
…笑われた。本当は一応なんかじゃないけど、どうしても恥ずかしくて余計なことまで言ってしまうよ。
だって、オジサンには、リョウちゃんと別れた直後に泣いていた姿まで見られているのだから。
「でも…そっかあ。めごちゃんがしゅーくんの彼女なら、俺は大歓迎だよ」
軽く笑いながらオジサンはそう言っていたけれど、そのままやさしい目でこちらをじっと見てくれた。
その表情に、じんわりと胸が熱くなる。
「…あんなに、あんなにオジサンの前でも泣いて相談に乗ってもらったのに…。立ち直り早くて…なんだか複雑な気持ちというか…」
「うん?前に、彼氏に振られてうちに来た時のこと?」
「…はい…」
あれから、まだそんなに月日は経っていない。学校を休んでまで、オジサンの仕事をサボらせてまで、話を聞いてもらったあの日のことを思い出す。
「はははは!なに、そんなことを気にしてるんだ、めごちゃんってば」
「えっ…?」
でも、オジサンには、また笑い飛ばされてしまった。
「そんなの、ちゃんと本気なら、若いんだから考えなくていいんだよ。それにあの時言ったでしょ。辛い想いを断ち切るには、それに勝る人に出会わなきゃいけないって」
「……はい…」
たしかに、言っていた。その時のわたしはまだ、そんな人なんかいないって、思っていたんだっけ。
「めごちゃんにとってのその人に、珠理がなれたのであれば俺は嬉しいよ。それに、あの時のしゅーくん、すごく必死だったからね。めごちゃんを見た瞬間に飛んできて連れ去るんだもん。アレでオジサンがしゅーくんの気持ちに気づかないわけがないよね」
「……」
そうだ。あの時、珠理が連れ出してくれた時のことを、この人も見ているんだった。なんだか、色々なことを思い出す。そして、ものすごく前のことのように思ってしまう。
やっぱり、不思議な感覚。



