「うっ、イテテ…」


暑い日差しの中、朝早くに起こされて、痛いお腹を引きずって、よくここまで来れたと思う。自分を褒めたい。

だから、わたしだって美味しいアイスを選びたいのだけれど、今は月に一度の女の子の日で重くなったこのお腹の痛みを抑えるので必死だった。


…冷や汗が出てくる。ほんとやだ。


でも、リョウちゃんの家まであとほんの5分くらいだし、それくらいだったら耐えられそうな気がする。

そんな葛藤をしながら、ようやくたどり着いたアイスコーナーを見渡した。


「…な、ない…」


リョウちゃんが言っていた新作のアイスは、見事に売り切れていて、そこだけポッカリと寂しそうに底のプラスチックが見えていた。


…あぁ、これは、怒るかなあ。リョウちゃん。
でも、なかったんなら仕方ないよね。あきらめてもらうしかないや…。


代わりに、似たような味のアイスをふたつ取り上げた。もう、自分のぶんのアイスを選んでいる余裕はなかった。


…なんせ、とてつもなくお腹が痛い。