「…サユリは…、いつも店の方に少しだけ顔を出すだけなの。その後は、駅の近くのホテルに泊まってる」
「…会うの、その時だけなの?」
「今のとこは。アタシも、あまり長い間一緒にいるのは苦しいからね。その後も数日は日本に滞在するから、オジサンと合間を見ては話をしたりしてるみたいだけどね」
…そして、サユリさんは、お正月前にはアメリカに戻っていくとのこと。
もっと、じっくり家族の時間を過ごしているのかと思ったけど、そうでもないらしい。
…今日も、少しずつ見えてくる、珠理の姿。少しだけ弱い、本当の珠理。
「うん、いいよ。クリスマス、珠理と一緒にいる」
わたしはどんな珠理のことだって、分かりたいって思ってる。
サユリさんという存在がどんなものなのかなんて、話だけじゃ分からない。会ってみないと、本当のことなんて分からないよ。
「本当に…、いいの?」
「うん。せっかくのクリスマスだし。一緒にいようよ」
「めご…」
それに何となく、珠理を1人にしたくないの。
「1日空けとく。ハニーブロッサムに行くね」
「んーん。アタシが手伝うのは16時からだから。駅まで迎えに行くわ」
「わかった、ありがとう」
10時に鎌倉駅。珠理がお店に立つまでの間は、珠理の家でゆっくり過ごすことになった。
正直、サユリさんに会うのはとても緊張する。
でも、珠理自身が紹介したいって言ってくれているし、それを断る理由なんてない。それに、ほんの少し、会ってみたいと思った。
サユリさんは、珠理を、この世に産み落としてくれた人だから。



