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少しだけ予想はしていたけれど、朝いつもの江ノ電に乗って鎌倉駅に着いたら、もう待ち合わせの場所には珠理が立っていた。
朝の7時40分。珠理はいつも、ホームルームぎりぎりの時間に来ているから、わたしと同じ時間にここにいるのは、かなり大変だったと思う。
もしかして、いつもよりものすごく早起きしてくれたのかもしれない。
…そんなことを思いながら、周りの視線を集めている珠理の元へ走る。
「…珠理」
小さく声をかけると、珠理はわたしに気づいていたようで、にこっと笑って耳元のイヤホンを取った。
…音楽を聴いていたのか。
「めご、おはよっ♡」
イヤホンが絡まった長い指で、さっそく、わたしの冷たくなった頰をつんつんと触る。その指先は暖かくて、気持ちがいい。
「…なんか、珠理の指あったかい」
「ふふ、でしょう?ポケットの中にホッカイロ入れてたの。2つあるから、1つめごにあげるわ」
「えっ…。ありがとう」
ポケットから出されたホッカイロ。熱を発生し出したばかりなのか、熱々だ。寒い冬の朝にはもってこいの温度。
わたしはそれを、珠理と同じようにコートのポケットに突っ込んだ。
今日1日のお供にしよう。
「珠理ごめん。わたしの時間に合わせてもらって…。もっと間をとるとか、すればよかったんだけど、気づけなくて」
通勤・通学の人たちで溢れかえっている駅から少し離れて、歩きながら後悔していたことを話す。
これは、電話を切って数分後に気づいたこと。何も、わたしの通学時間に合わせてもらう必要なんかなかったんだよ。
早く行ってる理由なんてものも、なかったし。



