『なーに?なんだか元気ないじゃない』
静かにごろんと寝転ぶと、珠理はいつもの調子で聴いてきた。
…そう、その声。その話し方が、聞きたかった。元気がなく聞こえたのは、わたしが不安に思っていた気持ちをずるずると引きずっていたからかな。
「元気だよー。ちょっと疲れちゃっただけだもん」
『ほんとう?』
「ほんと」
リョウちゃんの時と色々重ねてしまっていたなんて言えないや。それで不安に思ってたなんて聴いたら、さすがにいい気はしないよね。
「珠理は、課題終わった?今日いっぱい出てたって言ってたけど」
『そうなの〜!もうたっくさん。英語も2枚出たし、数学も裏表のやつが1枚でしょ。それに化学と日本史』
「うわ、いっぱいだね」
『そうなのよ〜!もう頭ぱんぱん!』
進学校であるわたしたちの学校は、課題が多い。わたしは今日は楽な方だったけど、それだけ出てれば、きっとものすごく疲れただろうなあ。
「お疲れ様。頑張ったね」
『…』
今度から、一緒に課題をやるってのもいいなあ、なんて考えた。そうしたら帰ってからやる量も少なくなるのかなって。
『…ねぇ、めご』
「うん?」
やさしく囁かれる。電話って、すぐに声が耳に届くから、ふつうに話すよりも少しだけ緊張する。珠理の声は、低くてすごく綺麗だから、なおさら。
『……すきだよ。』
「…っ」
…そう、なおさら。尚更、緊張するよ。



