ほんの2時間前くらいに別れたばっかのはずなのに、目を閉じて珠理の声を思い出す。
その度にギュッと胸を掴まれるような感覚がして、思わず眉毛を寄せた。
そんなことを繰り返すうちに、わたしのスマホがまた震えだすのに気づいて。
——ブーッ… ブーッ…
「…?」
がばりと起き上がって、そのバイブレーションの音がする方を見ると、ずっとぶるぶると震えているスマホが見える。
メッセージ…? だけだったら、こんなに震えないよね。
瀬名かな?と思って、スマホに手を伸ばして画面を見ると、そこには「珠理」の文字が出ていた。
「えっ」
思わず声をあげる。だって、これはメッセージじゃない。普通の電話だ。
確かに珠理とは電話番号も交換していたし登録していたから、かかってきてもおかしくないけど…でも。
電話なんて、一度もしたことないよ。
「……っ、はい」
変にドキドキする。だって本当に、電話越しに話したことなんてなかったから。
スマホを耳に押し当てて、思わずベッドの上に正座をした。
聞こえるか危ういくらいの声を絞り出すと、画面の向こうから、『めご?』と、聞きなれた声が聞こえてきた。
…珠理の、声だ。
「…うん」
さっきまで聴いていたはずなんだけどな。ものすごく久しぶりに聴く気がする。
『課題落ち着いたから、電話してみたの。今、時間大丈夫?』
「……っ」
低い声。でも、やさしい声。本当に珠理の声だ。本物だ。
「…うん。さっきお風呂上がって、ベッドでごろごろしてた」
『さっき言ってたわよね。返事返ってこなかったから、もう寝ちゃったかなと思ったんだけど』
「んーん、寝てないよ」
…返信に、困ってただけだよ。それから、色々考えていただけ。



