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珠理のスマホが頻繁に震えていることに気付き始めたのは、もう本格的な冬を迎えた12月に入った頃だった。

その日は瀬名と茶々ちゃんも含めた5人でE組にいた。

珠理の誕生日を5人で過ごしてから、こうやってお昼も一緒に食べることが多くなってきて。
周りの女の子たちの目線が相変わらずだけど、茶々ちゃんの目力によって守られている。


——…そんな中。


「…ミノくん、またスマホ鳴ってるよ」

「……」


昼休みだけでも数回震える珠理のスマホ。ずっとバイブ音が響いているから、どう見ても電話なんだろう。

…でも、珠理は一度も出ようとはしない。


「ほんとねぇ。アタシのストーカーかしら。やぁねぇ〜!」


と、相変わらずへらりと笑っているだけだ。


…ストーカーって。珠理なら充分有り得そうだよ。笑い事じゃないのに。


「お前なあ。みんな心配してんのに、何笑ってんだよ。ストーカーなら着拒するなり警察相談するなりなんなりすれば」

「んー………。そうね」

「…」


珠理の煮え切らない態度に、珍しくイラっとした顔をする近海くん。

そうこうしているうちに、珠理のスマホは、また踊るように勢い良く動き出した。


「あ〜〜っと!ごめんなさい!アタシ、食後のデザート買ってくるわねぇ〜!」


急いでスマホをブレザーのポケットにしまう珠理。



…怪しすぎる。