「ねぇねぇ近海くん」

しばらく2人がワイワイ騒いでいると、瀬名がそっとキッチンを覗きにきた。

「おう。どうした?」

洗った野菜とお米を持って、瀬名の方に向かって行く近海くん。


「実は、話しているうちに、茶々ちゃん寝ちゃって…。起こしても起きないから、どうしたらいいかなあって」


……えっ、茶々ちゃん寝たの!?わたしたちが話していた間に!?かわいい。


「はぁ。そいつ、一度寝たらしばらく起きねーからダメなんだよな。まぁ、帰る頃には送ってくし、それまで上に運んどくわ」


ため息をつきながら、「おい茶々」と、茶々ちゃんのもとへ行く近海くん。
…もう、慣れているのかな。対応がスムーズ過ぎる。

そのまま近海くんは、「よいしょ」と茶々ちゃんを抱き上げると、ドアに手をかけた。


「鍋に、野菜と米をぶち込んどいて。15分くらい経てば、火通って食べられるよ」


…そう、言い残して、眠っている茶々ちゃんと上に上がっていった。


「…なにあれ。近海くん、イケメンすぎない?」


流れるようなスマートな対応を見ていた瀬名が、思わずわたしの肩をポンと叩く。
…いや、うん。あんなことされちゃったら、女の子は大体惚れるよね。わかるよ、瀬名。


「美男子と美少女だと、ドラマを見ているみたいだわ」

「ホントソレ」


…感心するよ、近海くん。いつか、あなたの恋が叶うことを祈っているよ。