「…おい珠理。なんもしてねーし話してただけだからヤキモチ妬くな。みっともねーよ」

「アラ、ヤキモチなんか妬いてないわよう。可愛いめごが近海と2人でコソコソしてんのが気に食わなかっただけ!」

「それをヤキモチっていうんじゃねーのかよ」


とんだ過保護野郎だなお前は。と言い捨てて、呆れた顔で珠理の方を見る近海くん。そんな近海くんに対して、またぷうっと頰を膨らませていた珠理。

…ほんと、とんだ過保護オネェだし、ヤキモチオネェだよ。



「あ!ねぇねぇ近海、見て。コレさっき、めごがくれたの。誕生日プレゼントだって!」


珠理は、野菜を切っている近海くんの目の前に、わたしがあげたブルートパーズのブレスレットをチラつかせている。

…いや、邪魔すんなや。迷惑オネェ野郎だな。


「はいはい、ちゃんと見た見た。よかったな。似合ってるよ」

「なにそれー!棒読みじゃないの!ちゃんと見てよ!」

「うるせーな、目の前でイチャイチャすんなよ、見てて悲しくなってくるわ」

「…」


人前だろうと親友の前だろうと、わたしから離れようとしないでくっついたままの珠理。

こっちも作業してんのに邪魔すぎる。

…でも、そう思いつつも、こうやって触れられていることに対しても少しだけ安心感を覚えつつある…。

そんなことを感じているわたしは、もうさすがに、重症だと思う。

…まだ、よく分からないから、珠理には言いたくないけど。



「めご可愛い。一生懸命選んでくれたのよね、アタシのために。あ〜想像しただけで可愛いわ!!」

「…お前、ほんとウザいな。覚えてろよ」

「…」


ギュウっと抱きつかれる体温。その温度が、もう、珠理だと感じ取れるようになってしまった。

顔が熱い。けど、嫌じゃないから、離れない。

そんな自分がなんだか自分じゃないみたいで、そのまま黙って、2人の会話を聞いていた。