「…静かに泣くのね、アンタって」

「…っ」

「アンタは、頑張りすぎているのよ。アタシでもそのくらい分かるわ」




…この時、わたしは初めて心の底から気づけたのかもしれない。



きっと、ずっと誰かに、聞いて欲しかったこと。


つらいけど、頑張っていること、耐えていることに気づいて欲しかったこと。

でも、自分が我慢しなくていいことを我慢しているということ。

そういう自分を保つことで、リョウちゃんにとっての自分の存在価値を見出そうとしていたこと。



…いくらひどいことをされても、リョウちゃんのことがだいすきだってこと。





「…泣き終わったら、空見てみなさいよ。今日は、星が一段と綺麗だわ」


「…っ」




…そんな想いに、まだ会って間もない、美濃珠理の声が綺麗に響くものだから、きっと、溶け出すように涙が出たのかもしれない。




「…星を見ながら、少し話をしましょう。アンタがヒミツにしていること、少しずつ聞かせてほしいわ」

「……」

「…桜井さん、今日からアタシたち、友達決定ね?」

「…っ、ばかじゃないの…」






…なんで勝手に友達に決定されるんだ。


そう言いたかったけれど、見上げた空はあまりにも綺麗な星空だったから、そんな気持ちは、どこか遠くへ飛んで行ってしまった。


第一、オネェと友達なんて。それって、男友達か女友達か全く分かんないし。


…でも、今日新しい繋がりが生まれたのは、もう事実としか言えなかった。



わたしの奥底にあった心が、少しだけ、動いたのが理由だった。






【ヒミツにふれて、ふれさせて。】